Interview

ブラジルと吹奏楽というと、ブラジルはどうもサッカーとかーサンバの印象が強く吹奏楽なんてあるの?と思われる方もいると思いますが、ブラジルは音楽大国で実は吹奏楽も非常に盛んな国です。ここ数年、ブラジルの吹奏楽が世界に進出してきています。今ブラジルでは自分たちの音楽を世に出そうと色々な試みをしているところで、例えば今年の11月にはWASB主催ののラテンアメリカの吹奏楽フェスティバルがサンパウロで開かれます。これは世界各国からラテンアメリカの人達の交流と、ラテンアメリカの音楽に興味を持つ人達が世界から集まるもので日本からも是非来て欲しいということです。(その際には招待状を出してくれるということです)
そして、来年7月にはなんとマーチングの世界大会が開かれます。地球の正反対の位置にある日本とは遠いせいか今のところ交流はありませんが、他の色々な国とは盛んに接しています。ブラジルにはロサンゼルスのリトル・トウキョウと並び世界に2つしかない日本人の町<リベルダージ>があります。

左からウドソン,アダルト,
記者のリズメロさん,ダリウ

ブラジルには約150万人の日系人が住んでおり、日本人の文化がかなり浸透しておりかなりの親日国です。吹奏楽の世界でも例外でなく彼らは日本の文化に対してすごく興味を持っています。これから是非交流を持ちたい国の一つだと思います。今回は、そのあまり知られていない国<ブラジル>の吹奏楽に携わる人達がどんなことを考えどんなことをしているのかということをテーマに、3月22日(月)にサンパウロ州にあるタトゥイ・コンセルバトワールで彼らが語ってくれたものをまとめてみました。

今回参加してもらったのは
ウドソン・ノゲイラ(作曲家)には彼の音楽をダリウ・ソテイロ(指揮者)にはブラジルのウインド・オーケストラについてアダルト・ソアレス(ホルン奏者)にはブラジルのマーチングバンドについて話してもらいました。

ウドソン・ノゲイラ氏の音楽

『ブラジルはサンバの国として有名であるが、ブラジル文化の多様性から成り立つ200以上ものリズムがサンバの背景としてあることは余り知られていない。もし私の音楽を聴いたとしたら、必ずサンバ、ショーロ、フレヴォー等といったブラジル音楽のリズムに気が付くでしょう』彼は世界中で行われるコンサートを通じてブラジルの素晴らしいたくさんのリズムを自分の曲と共に紹介したいと考えているそうです。又、彼の音楽の根底にはポピュラー音楽があり、その要素が必ず含まれています。なので誰にでも聴きやすく親しみやすい曲調が特徴なっています。彼の代表作品の中でRetratos Brasil(ブラジルの肖像画)という曲があります。これは大国ブラジルの色々な町、物、人といったものを音楽で表現したものでT楽章 アマゾンの熱帯雨林 U楽章 サンパウロ V楽章 アフリカの影響 W楽章 カーニバルといったものを表しています。既にこの曲はアメリカ、フランス、スペイン、ハンガリー、ロシア等で演奏され高い評価を得ています。他にアメリカのサックス奏者デイリィー・アンダーウッド氏の為に書いたSAXCOLOSSOS(サックスコロッソス)はネイビーバンドで初演され、元カナディアンブラスのトランペット奏者フレッド・ミルズ氏の為に書かれたVIRTUOSO(ヴィトゥオーゾ)は世界中の行く先々で演奏されてるとのことです。今年はアメリカ、スペイン、南アフリカ共和国の3カ国から招待を受けており、本来ならば日本にも今月来日の予定でしたが残念なことにビザの問題で今回は見送りになってしまいました。来年は是非実現させたいと思います。彼の音楽は日本の方たちにもきっと気に入ってもらえると思います。

ブラジルのウインド・オーケストラ

『ブラジル音楽の豊かさや幅広さを考えるとBRAZILIAN WIND ORCHESTRAは無限の可能性を秘めていると考えられる。そこがどんな国であってどんな人達で初めて聴いたとしても、その音楽に魅了されてゆくでしょう。私は世界中の人達にブラジルの音楽を聞いて楽しんでもらいたいと思います。又、生きたブラジルのリズムを絶やさないように、ブラジルの作曲家にブラジルのリズムを取り入れた曲を作曲する機会を与え、そしてその音楽を広めて行きたい。それが私たちの文化であり、その手段の一つとしてウインド・オーケストラを活用していきたい』ダリウ氏はアメリカ、ハンガリー、アルゼンチン等ブラジル国外でブラジルの作品を紹介したことがあり。去年はスペインのバンドの指揮し、ブラジルの作品を紹介したところ大変高評で、今年の7月にはタトゥイのウインド・オーケストラと共に招待されているそうです。彼はタトゥイの音楽大学のウインド・オーケストラの指揮者でブラジル音楽をとても大事に考える人です。彼と大学のプロジェクト<プロ・バンダ>は5年前から始まり5枚のCDを作りました。これはブラジルの吹奏楽のオリジナル作品、ポピュラー音楽等、ブラジルの吹奏楽作品を世界に出そうというもので、既にアメリカ、ヨーロッパでは発売され好評だということです。僕のアレンジした10曲のサンバもこのプロジェクトの一環としてブラジルで出版される予定です。ブラジルの音楽は世界でも人気が高く、これからの彼らの活動に期待して行きたいと思います。

ブラジルのマーチングバンド 

マーチングバンドはブラジルでは<バンダマルシャル>といいます。来年の7月にマーチング世界大会が行われる予定と書きましたが、7月は日本では夏ですが、ブラジルは正反対の冬になります。また開催される町は<ポルト・アレグレ>といってブラジルで唯一雪の降るところでとても寒いところです。何故こんな寒い場所で行われるかサンパウロの音楽家たちは誰も知らなく皆びっくりしています。アダルト・ソアレス氏は若いころはアメリカやヨーロッパでホルンや楽器の修理の勉強をして来た人で、世界のことをよく知るブラジル人として閉鎖的なブラジルの吹奏楽の世界ではまれな人物です。現在はタトゥイ市に在住し大学でホルンを教えるかたわら、楽器のリペアの店を営み又、地元の子供たちを集めマーチングバンドの指導者として活動しています。ブラジルの管楽器を演奏する子供たちは教会の音楽隊かこのバンダマルシャルで楽しみながら上達していきます。又演奏する曲の中からブラジルの民族的、文化的背景の重要さを学んでいきます。アダルト氏がいうには『ブラジルのマーチングバンドはまだまだ学ぶところはたくさんあるが、彼らの最近の活躍は魅了されるものがあり、ライブの楽しさを人々に与えるものがある』と述べています。殆どのバンドは毎年行われるコンクールにに向かって練習を重ねていきます。演奏する曲はポップス、ジャズ、クラシカルなもの等にブラジルの音楽を加えたもので、何でもありという感じです。この中で注目したいのがブラジル独特のマーチ<マルシャ>と<フレヴォー>です。ブラジル北東部で生まれたこのマーチは正にバンダマルシャルの音楽で、軽快でのりのよい楽しいマーチです。アメリカのマーチとは全く違い、初めて聴いた方はこんなマーチが存在するのかとびっくりされるでしょう。皆さんよく知っている<恋のカーニバル>の原曲はフレヴォーでいつか日本でも流行るのではと思っています。

2004年BJ6月号より



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